美容師は話を聞かない、聞いてくれない
美容室の忙しいイメージ。その中で流れ作業の様に施術を行われた経験はないでしょうか。仮に丁寧な接客だったとしても本当に必要な情報や理想を美容師と共有できた経験はあまりないのではないでしょうか。
出来るだけ早く、出来るだけ多くのお客様にサービスを届けるという従来の価値観は時代と共に変化し今はマッチしていません。
美容師は文字通り、師がつく専門職であり国家資格を所持しています。素人には到底理解できない知識と技術を持ち合わせています。そこに経験が加わるとお客様の髪の状態は言わんとしている事は何となく想像がついてくるものです。
しかし、その経験に基づいた判断が本当の意味でのお客様の理想を反映できているのかに私達は疑問を持っています。
つまり、カウンセリングをしているようで、実は美容師の経験則と予測によって仕上がりの方向性が決まっている事が多いように感じています。
そこには、2つの矛盾があると思っています。
2 お客様自身が自分の理想の状態がその日に実現されると思っている
髪の状態や現状によってはお客様のご要望をその日では実現しづらい場合も多々あります。それを、明確にお伝えできれば良いのですが、前提としてその日にご要望を叶える事が宿命の様に感じてしまっている事も事実なのです。
お客様自身も自身のお望みのスタイルやカラーなどが可能なのか難しいのかは判断がつかないところだと思います。基本的な思いとしては、高い金額を払って美容室に行くのですからその時に思い描いたスタイルが表現されて当然の認識があるかと思います。
しかし、現実は何度かの施術日数が必要であったり、新しい角度での提案が必要である事も多々あります。美容師はその日に何とか結果を出そうとし、お客様はその瞬間に思い描いた髪が実現されると思っているギャップから、様々な問題が生まれてしまうのも事実です。
理想としては、お客様が思い描いている理想の形を、どのようにアプローチして、どれくらいの期間で、どれだけの費用で実現できるのかを共有し一緒に進めていける事です。
その価値観が浸透していく事で、お客様の話を聞いてもらっていないという感覚もなくなっていくと考えています。
なぜなら、美容師はその日で結果を出す事だけに集中せずとも、お客様が目指すゴールへの道筋を示させてもらえれば良いからです。本当の意味でお互いが納得し満足できる状態を作り上げていけます。美容師は心からお客様に喜んで頂きたいと思っているにも関わらず、その状態がどのようにすれば提供できるかを伝えきれなくなってしまっていたからです。